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東京高等裁判所 昭和57年(行コ)7号 判決 1983年1月25日

東京都千代田区内幸町一丁目二番二号

大阪ビル第二号館八六四号

控訴人

吉永多賀誠

右訴訟代理人弁護士

大崎康博

同都同区神田錦町三丁目三番地

被控訴人

麹町税務署長

北川烈

右指定代理人

松本克己

重野良二

榊原万佐夫

郷間弘司

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は「原判決を取り消す。被控訴人がいずれも昭和五四年三月九日付でした控訴人の、昭和五〇年分所得税についての更正及び過少申告加算税賦課決定、同五一年分所得税についての更正及び過少申告加算税賦課決定(ただし、昭和五六年七月二九日付の再更正により一部減額された後のもののうち退職引当金三四五万九、九一五円を除いた部分)並びに同五二年分所得税についての更正(ただし、昭和五六年七月二九日付の再更正により一部減額された後のもの)をいずれも取り消す。訴訟費用は第一、第二審を通じて被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人指定代理人は主文第一項と同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上及び法律上の主張並びに証拠関係は、控訴人訴訟代理人において当審における控訴人本人尋問の結果を援用したほかは、原判決事実欄の「第二 当事者の主張」及び「第三 証拠」に記載のとおり(ただし、原判決一一丁裏三行目に「場合」とあるのを「場所」と、同一八丁裏一行目に「第二、三号証」とあるのを「第二、第三号証」と各訂正し、「第二 当事者の主張」中には、同三一丁表以下の別表一ないし六を含む。)であるから、これを引用する。

理由

一  当裁判所も控訴人の請求はいずれも理由がなくこれを棄却すべきであると判断するが、その理由は次のとおり付加・訂正するほかは、原判決理由説示のとおり(原判決一九丁表二行目冒頭から同二九丁裏八行目の「棄却することとし、」まで及び同三一丁以下の別表一ないし六)であるから、これを引用する。

1  原判決二一丁表七行目、同裏一行目、同二二丁裏五行目及び同二三丁裏四行目に「原告本人尋問の結果」とあるのをそれぞれ「原審及び当審における控訴人本人尋問の結果」と改める。

2  同二二丁表八行目の「これに反する」から同九行目の「採用できない。」までを削除し、そのあとに行を替えて次のとおり付け加える。

「ところで、控訴人は、本件顧問料収入が法所定の所得の種類上給与所得に当ることの根拠として、(1)本件顧問料収入は実際に法律相談を行なうと否とにかかわりなく顧問先会社との顧問契約により当然に得られるものであり、(2)これを得るのに何らの経費を必要としないことを挙げるけれども、前述したとおり、控訴人は右顧問契約により法律専門家としての独自の立場において顧問先会社からの求めに応じてその都度意見を述べるに止まり、顧問先会社の指揮、監督下においてその業務に従事するわけではないのであり、控訴人挙示の右(1)の点は本件顧問料収入が給与所得に当ると解すべき根拠となりうるものではない。また、控訴人は、前記の場所に法律事務所を設け、使用人を使い、必要な経費を支弁するなど、独自の計算において弁護士業務を営んでいるのであり、右顧問契約とこれに基づく法律相談等はその業務の一環として行われているのであるから、本件顧問料収入を得るのにこれに直接対応する経費の支出を要しないからといって、本件顧問料収入が給与所得に当ると解さなければならない合理的理由はない。」

3  同二二丁裏五行目に「及び」とあるのを「並びに」と改める。

4  同二二丁裏一〇行目の「しかし」のあとに、「弁論の全趣旨によると、」を、同裏一一行目の「ものではない」のあとに「と認められる」をそれぞれ付け加える。

5  同二三丁裏八、九行目の「言わなければならない」のあとに「(控訴人は、本件日当が控訴人の収入となったと言うのであれば、これから必要経費が全然支出されなかったことを被控訴人において立証すべきであると主張するけれども、控訴人はいわゆる青色申告者なのであるから、本件日当が全額必要経費に充てられたと言うのであれば、納税義務者たる控訴人の側で会計記録上このことを明らかにしなければならない。)。」と付け加える。

6  同二四丁裏四行目に「許さぬ趣旨」とあるのを「許さない趣旨のもの」と改める。

7  同二五丁裏八行目の冒頭に「その残存耐用年数は」と付け加える。

8  同二六丁表一一行目に「乙第二、三号証」とあるのを「乙第二、第三号証」と改める。

9  同二九丁裏八行目に「棄却することとし、」とあるのを「棄却すべきである。」と改める。

二  よって、これと同旨の原判決は相当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判所裁判官 岡垣學 裁判官 大塚一郎 裁判官 松岡靖光)

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